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無意味な予想@講演録:進路と『孫子』(22)


 というわけで、勝利の効果も含めて進路の選択を考えないといけません。そのためにも『彼』も『己』も知らないといけません。進路の先にあるもの、自分が相手にしようとしている世界が『彼』です。自分の真実の姿が『己』です。そのことについてもう少し掘り下げます。テキスト()ページ()行目です。まずは、『彼』『己』を知る前提です。


昔の善く戦う者は先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。

勝つべからざるは己れに在るも、勝つべきは敵に在り。故に善く戦う者は、能く勝つべからざるを為すも、敵をして必ず勝つべからしむること能わず。故に曰わく、「勝は知るべし、而して為すべからざる」と。




 昔の戦い上手というのは、自分の状態が相手の勝てない状態、つまり自分が負けない状態にまずしていく。そうしてから、相手の状態が自分の勝てる状態になるのを待つようにしていました。
 次の段落です。『孫子』はこう言っています。自分の状態は自分次第で、相手の状態は相手次第だと。だから戦い上手でも、自分の状態を相手の勝てない状態にすることはできても、相手の状態を自分の勝てる状態にさせることはできないのだと。
 つまり、当たり前ですが、テストを受けるとき、テスト自体を自分が点数の取り易いような簡単な問題にしていくことはできません。また、ライバル受験生の実力を自分より低いものすることもできません。テストであれ他の受験生であれ、「相手」の状態は「相手」次第です。自分ができることは、自分が負けない状態にすることしかありません。
 だから、『孫子』は言ってます。『勝は知るべし、而して為すべからざる』。すなわち、どうなれば勝てるかを知ることはできても、それを実現させることはできない、と。
 何か道を選ぶとき、そこでどうしても戦わなければいけないとき、相手をどうにかすることはできません。すなわち、『彼』を知ることはできても、その『彼』にどうやって勝つかは分かっても、実際に勝てるようにすることはできません。だから、せめて『己』が負けないようにする。自分は自分次第だからそれができます。そして、そのためにも『己』を知らないといけないのです。
 これは言われてみれば当たり前のことなのですが、このことを意識せずに計画を立ててしまう人が意外と多いものです。受験なんかで倍率が低そうなところを狙うとか、出る問題のヤマを張るというのは、その典型的な行為ですね。倍率が低いと思って応募したら予想外に倍率が高い。これは出ない問題だと思ったら本番で出題された。すべて自分にはどうしようもできないことを、進路選択する上で考慮している。これって愚かだと思いませんか。
 『彼』を知る大前提として大切なのは、自分の進路について自分の都合のいいように考えないということが挙げられます。自分の力でどうしようもできないことに自分の都合のよいように予想して選択する。たとえば、就職活動なんかで、『今後伸びそうな業界』はどこかと考え、識者の予想などをもとに志望業界を決める、こういう人は少なからずいます。しかし、未来は予測不可能なのです。成長するだろうと思われていた業界がわずか数年で失速したり、斜陽産業だと思われていたのが市場規模を拡大させたり。いやそもそも、斜陽産業が斜陽のままだったとしても、その世界に自分が飛び込んで勝利を収めるかどうかはまた別次元です。斜陽産業だからこそ、もうこれ以上堕ちようがないとも言えますし、第一そう呼ばれる産業からは優秀な人材は逃げていくでしょうから、ライバルが減って逆にチャンスですよね。
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饗庭 悟 : AEBASATOL

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