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観察と質問、そしてメモ@講演録:進路と『孫子』(31)

 そのとき、就職先であれ大学であれ、そこにいる人々の様子、そして自分を応対してくれた人の言葉には大いなる注意を払わなければいけません。その例を『孫子』で見ていきましょう。テキスト()ページ()行目です。


敵近くして静かなる者は其の険を恃むなり。遠くして戦いを挑む者は人の進むを欲するなり。其の居る所の易なる者は利するなり。




少し飛ばして()行目。


辞の卑[ひく]くして備えを益す者は進むなり。辞の強くして進駆する者は退くなり。約なくして和を請う者は謀なり。




さらに()ページ()行目。


来たりて委謝する者は休息を欲するなり。兵怒りて相い迎え、久しくして合わず、又た解き去らざるは、必らず謹しみてこれを察せよ。




 皆さんにはまた改めて他のところも読んでほしいのですが、ここでは3箇所だけ読んでいきます。一箇所目の訳はこんな感じです。相手がこちらの近くにいるのに静まりかえっているのは、彼らがいる地形の険しさを頼りにしているからだ。相手がこちらか遠くにいるのに戦いを挑み、こちらが出てくるのを誘ってくるのは、彼らのいるところが彼らとって戦うのに有利な地形だからだ。とこんな風に、相手の行動をそのまま捉えず、その行動の裏にある意図を捉えよということですね。
 二箇所目を訳しておきましょう。相手の使者は腰が低く守りを固めているというのなら、それは後に攻めてくるということ。相手の使者が挑発的で攻めてきそうな気配なら、それは後に退却するということ。前者は、こちらを油断させておいて攻撃しようとしている、そんな腹を見抜けということです。後者は、本当は退却したいがそこを見透かされて攻撃されたら拙いということで、こちらを挑発してわざと強気に見せていることの表れであると知れ、と言っています。言葉と行動の関係をよく見極めよということです。
 三箇所目の訳にいきますね。相手の使者が急にやってきて贈り物を添えて謝ってくるということは、相手は休息したいのだ。相手がいきりたって正面まで出てきながら、なかなか戦おうともせず、かといって退くこともしないということなら、これは必ず慎重にその様子を観察せよということだ。
 いずれにせよ、見たまま・言葉のまま捉えるなということ。必ずその発言の、その行動の意図を、見極めよという教えです。
 このように君たちも進路として選択しようとしている所、その可能性のあるところは、現場まで足を運んで、よく観察しなさいということです。向こうの人と話をするとき、その言葉をよく聴き、その裏にある意図をよく考えなさいということです。
 そういう言葉や意図を引き出すためにはこちらから適切に質問をしないと引き出せません。訪問するときは質問を用意しましょう。それで用意する質問は、それこそ君のその質問の意図を明確にしてから質問の言葉を考えてください。君が発する質問の相手側の答えを聞いて、それが君自身のどういう判断や行動に影響を与えるか。簡単に言うと、その答えを聞いてどうするつもりなのか。それがはっきりと分からない質問をしてはいけません。そうならないよう、自分の行動が映像として頭に浮かぶような感じで、具体的な質問を用意してください。
 その質問への相手からの回答をしっかり記録してください。そしてよく検証しましょう。相手は何を言い、そして何を言わなかったか。案外、言わなかったことに真実は隠れています。何を明確に表現し、何を曖昧に表現したか。何に対しては数字を挙げ、何に対しては数字を挙げなかったか。そうやって発言の意図を探るわけですが、そういう分析ができない場合は、帰ってから誰かに相談するとよいでしょう。自分より賢い人に。そのためにもメモは欠かさずこまめに取ってくださいね。本日の講義もそうですが。


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饗庭 悟 : AEBASATOL

Author:饗庭 悟 : AEBASATOL
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