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今、ここで、与えられたこと@講演録:進路と『孫子』(38)

 というわけで、進路選択についていろいろと述べてまいりましたが、講義も終盤ですのでここで根本的なことを述べておきましょう。では、そのためにまずは『孫子』を引用します。テキスト()ページ()行目です。


兵法は、一に曰わく度[たく]、二に曰わく量、三に曰わく数、四に曰わく称、五に曰わく勝。地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。




 この一節、『孫子』での意味はちょっとおいておきます。それより漢字を見てほしいのですよ。しかも、現代日本人の感覚で。もちろん、『孫子』は古代中国の兵法書ですから、現代人の感覚ではなく、きちんと古代の中国の兵法書としての意味を捉えないといけないのですが、あえて君たちの感覚で見てください。
 最初に『度』ってありますね。我々はこの漢字を『温度』とか『度合い』といった単語で使います。これでも分かるとおり『度』というのは高い・低いで表せますよね。次の『量』は大きい・小さい。『数』は多い・少ない。その次の『称』というのは算数で出てくる線対称の『称』です。線対称というのは直線が引かれたその左右の形が同じですね。つまり、『称』というのはバランスが取れているということです。そして最後の『勝』はもちろん勝利の『勝』です。2文目の『地は度を生じ』ですが、この『地』を君たちの今いる地点、立ち位置と考えてください。君がいる世界・環境ですね。
 そうするとこの一節は、本来は戦争の話なのですが、そうではなく君たちの人生の真実を浮かび上がらせはしませんか。『地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず』、すなわち、君の今いる世界・環境が、君の能力の度合いを高くし、高い能力が視野を大きくし、大きい視野が選択肢を多くし、それが心のバランスを生み、人生の勝利につながる。こんな風にです。
 今度は今の一節を逆にさかのぼって読み解いていきます。人生の勝利、つまり進路の選択に成功するには心が乱れずバランスが取れていないと、成功どころか合格も採用もされません。心のバランスがとれている、つまり安定しているためには選択肢が多くないといけません。少ないと焦ります。その選択肢を多くするためにはそもそも視野が広くないと多くできません。視野を広げるためにはそもそも能力が高くないと広くできません。といいますか、無意味です。能力が高くないと、視野を広げても選べる選択肢が増えませんから。当然ですが、進路選択のよりよい方法を知っても、君の能力が高くなければ選べる範囲が狭くなります。より良い「戦場」、勝てる「戦場」は探すべきですが、そもそもその範囲は君の実力の範囲に限られます。より良い進路を選択するためには、自分のことを知るとか分析するとか、どんな職業があるかを知るとか、そんなことより、実も蓋もない話ですが、そもそも自分自身の人間としての根本的な実力がなければ進路を選びにくくなるのです。「やりたい」ことが多い人より、「できる」ことが多い人の方が有利ということです。
 そして、人間としての実力を高めるためには、いま自分がいる立ち位置、環境をより良いものしないといけません。いいですか、ここで勘違いしないでください。良い環境を「求める」ではありません。良い環境に「していく」のです。
 確かに、自分を高めるのにより良い環境を「求める」のは必要です。可能ならば求めるべきです。しかし、多くの場合、自分が生きる環境を変更するのは困難です。自分が生きている家庭や学校や職場や地域を変更するのは、なかなかできるものではありません。
 ならば今いる環境をより良いものに「していく」のです。自分の周囲を整えていくのです。そのためにはどうすれば良いのでしょう。
 その方法は拍子抜けのするほど単純な方法です。すなわち、今与えられていることで、今しなければならないことで、しっかり成果を出すという方法です。成果を出せば周囲は成果を出した人間を放ってはおきません。そのとき、同じ環境でも環境の質が変わります。君に新たに良い地位や良い仕事が、いや何より周囲の見る目が変わり、待遇・扱いが変わります。
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饗庭 悟 : AEBASATOL

Author:饗庭 悟 : AEBASATOL
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