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公務員採用選考教養試験:古文問題と解説【市役所上級(C日程)1999年】

次の文の要旨として妥当なものはどれか。
       【市役所上級(C日程)平成11年】

 出家人はもとより身に財宝なければ、智慧功徳を以てたからとす。他の無道心なるひがごとなんどを、直に面てに表して非におとすべからず、方便を以てかれの腹立つまじきやうに云ふべきなり。暴悪なるはその法久しからずと云ふ。たとひ法を以て呵嘖するとも、あらき言葉なるは法も久しからざるなり。小人下器はいささかも人のあらき言葉に必ずすなわち腹立ち、恥辱を思ふなり。大人上器には似るべからず。大人はしかあらず。たとひ打たるれども報を思はず。今我国には小人多し。慎まずんばあるべからざるなり。
                                        〔出典:『正法眼蔵随聞記』懐奘 編〕

1 出家人は、相手の器の大小を見極め、それぞれに応じた言葉でもって仏道の奥義を教えるべきである。

2 出家人は、仏道に反した行いをする人を諭す場合、乱暴な言葉で恥をかかせることがないように注意すべきである。

3 出家人は、いくら非難され乱暴されたとしても、泰然としているべきで、仕返しを思い立つなどということがあってはならない。

4 仏道に反しているからといって、他人の非を挙げつらい恥をかかせるような行為に出ることは、出家人として失格である。

5 仏道について諭そうとしても、相手の器が小さければ、恥をかかされたと思うばかりで、なんの効果もない。











[解説]
 この問題文に主張を表す「べし」は4回登場する。そのうち、下の図の通り、否定語の「ず」を使って否定・肯定の対比をなしている文脈から選択肢照合をかけるべきである。その際、ポイントは『腹立つまじきやうに』に否定語の「まじ」が入っていることに気づいているかどうか。ここを直訳すれば「彼が腹を立てないように言うべきだ」となり、これに引っかかるのは肢2だけとなる。肢4は似ているが、「まじ」のニュアンスが出ていないうえに、後半の『出家人として失格』が問題文で確認できない。
 また、問題文後半の残り2つの「べし」のうち、3番目に出てくる「べし」(『似るべからず』)から肢3の可能性を考えた人もいようが、問題文で「仕返しを思い立つべきではない」とは言っていない。『大人』はそんなことはしないといっているだけで(『たとひ打たるれども報を思はず』)、「するべきではない」とはいっていない。これは現代文などでも見られる典型的な引っかけ選択肢で「べき」がないところに「べき」をつけるというもの。注意すべきである。
 ちなみに、最後の「べし」は、「今のわが国にはつまらない人が多いから、控えめでないなんてことはあるべきではない」、つまり「控えめにすべきだ」と言っている。これも、もちろん肢3には関係ない。

[図解]
 出家人はもとより身に財宝なければ、智慧功徳を以てたからとす。他の無道心なるひがごとなんどを、直に面てに表して非におとすべからず方便を以てかれの腹立つまじきやうに云ふべきなり。暴悪なるはその法久しからずと云ふ。たとひ法を以て呵嘖するとも、あらき言葉なるは法も久しからざるなり。小人下器はいささかも人のあらき言葉に必ずすなわち腹立ち、恥辱を思ふなり。大人上器には似るべからず。大人はしかあらず。たとひ打たるれども報を思はず。今我国には小人多し。慎まずんばあるべからざるなり。

1 出家人は、相手の器の大小を見極め、それぞれに応じた言葉でもって仏道の奥義を教えるべきである。

2 出家人は、仏道に反した行いをする人を諭す場合、乱暴な言葉で恥をかかせることがないように注意すべきである

3 出家人は、いくら非難され乱暴されたとしても、泰然としているべきで、仕返しを思い立つなどということがあってはならない。

4 仏道に反しているからといって、他人の非を挙げつらい恥をかかせるような行為に出ることは、出家人として失格である。

5 仏道について諭そうとしても、相手の器が小さければ、恥をかかされたと思うばかりで、なんの効果もない。

[ 正答 2 ]

<全訳>
 出家した人はその身に財をもたず、智慧と功徳をもって宝とする。よって、他者の仏道への帰依の心がないことからくる間違いなどを、すぐに顔色に出して非難すべきではない。うまく言葉を使ってその人が腹を立てないよう話すべきである。激しい言葉で説いては仏の教えも長続きしないと言われる。たとえ、仏の教えにしがって叱責しても、荒い言葉では仏の教えも長続きしないのである。つまらない人はちょっとした人の荒い言葉でも必ずすぐに腹を立て、恥をかかされたと思う。度量の大きな人はそれに似ることなんてない。立派な人は、たとえ殴られても、仕返しなんてしようとは思わない。今我が国には、つまらない人が多い。だから、(荒い言葉は使わず)控えめにしておかなければならない。



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饗庭 悟 : AEBASATOL

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